美味しく淹れる

日本茶には様々な種類があり、味や香りは淹れ方によって変化します。好みは人それぞれなので決まった淹れ方というのはありませんが、おすすめしたい基本的な方法をご紹介します。
ほんのちょっとの違いでぐっと美味しくなる場合があるので、参考にしていただければ嬉しいです。

日本茶を楽しむ準備

お好みの日本茶(茶葉)

ここではリーフタイプのお茶の淹れ方をご紹介します。お茶は湿気や光を嫌います。開封した茶葉は、茶缶など密封できる容器に入れるか、できるだけ空気を抜いてチャック式の保存袋や保存用のクリップなどを使用して保管ましょう。

茶さじ

茶葉を計量するために使います。スプーンでも大丈夫です。
目分量でも悪くないですが、「〇人分淹れるので、茶さじ(スプーン)で〇杯」のように計ると、味が濃すぎる、薄すぎるなどの失敗は少ないでしょう。お茶の種類によって重さが違うので、慣れるまでは計りを使ってもいいと思います。

急須

急須には様々なものがありますが、お手持ちのもので大丈夫です。紅茶やハーブティーに使用するティーポットでも代用できます。

湯のみ

手に持ったとき、口に触れたときなど味わいに影響する場合もあるので、自分の好みのものを使用してください。玉露や上級煎茶は味が濃厚なので小ぶりなものを、焙じ茶や玄米茶など熱いお湯でたっぷり淹れるものは大きめのものを選ぶのがおすすめです。
もちろん、マグカップや耐熱のグラスなどを用いても構いません。

湯冷まし

お湯をお茶に適した温度まで冷ますために使用しますが、お茶の種類によっては必要ない場合もあります。マグカップなどで代用できます。

知っておきたい4つのポイント

様々な種類がある日本茶も、4つのポイントを知っておくとそれぞれのお茶に合わせた味わいを引き出すことができます。

  1. 茶葉の量
  2. 湯の温度
  3. 湯の量
  4. 浸出時間(茶葉をお湯に浸す時間)

こちらはその一覧表です。日本茶の種類は他にもたくさんあり、味の好みや使用する茶器は人それぞれなので、これが正解というわけではありません。標準的なものとして参考にしてください。

※茶葉は重量のおよそ4倍の湯を吸収するので、それだけ量が減ることを考慮しましょう。

茶葉の量湯の温度     湯の量浸出時間
玉露3人10g50℃60ml150秒
普通煎茶3人6g70℃170ml1~2分
深蒸し煎茶3人6g70℃170ml30~40秒
焙じ茶5人15g熱湯650ml30秒

美味しい淹れ方

では実際にお茶を淹れてみましょう。
4つのポイントに加えてこれから説明するちょっとしたコツを意識すると、いつものお茶がより美味しく感じられると思います。初めての方は色々やることがあって面倒だなと感じるかもしれませんが、何度か淹れてみると意外と簡単だと思うのではないでしょうか。ぜひ試してみてください。
(煎茶を容量100ml程度の湯のみに淹れることを想定しています。)

沸騰させたお湯を使用する

日本茶は、お湯の温度で味や香りが変わります。そのため適温にしたお湯を使用しますが、必ず一度沸騰させてから温度を下げるようにしましょう。
日本茶に向いている水は味にクセのない軟水です。日本の水道水はこれに適していますが、塩素によるカルキ臭を抜いたり、不純物を減らして美味しいお茶を淹れるために沸騰させてから使用します。
あまり長く沸騰させると水に溶けている炭酸ガスが抜けてしまいお茶の風味に影響するので、3分程度で十分です。

お茶の葉を急須に入れる

人数分のお茶の葉を急須に入れます。
分量はお茶の種類によって異なりますが、煎茶の場合、一人あたり2~3グラム(ティースプーン1杯程度)が目安です。

お湯を適温にする

沸騰させたお湯を人数分の湯のみに注ぎます。8分目くらいまで入れましょう。

お湯を容器に移すごとに、温度は5~10℃下がりますので、さらに下げたい場合は、湯冷ましやマグカップへ移しましょう。煎茶の場合、70℃前後が目安となります。
湯のみを使うことでちょうどよいお湯の量をはかったり、湯のみを温めたりできます。

茶葉の成分を浸出させる

適温になったお湯を急須へ注ぎます。蓋をして茶葉の成分をじっくり浸出させましょう。
この時、急須は揺らさないようにしたいです。苦味や雑味が多く出る原因となります。
深蒸し煎茶は30秒程度、普通煎茶は1分程度が目安となります。

湯のみに注ぐ

各湯のみに少しずつ注ぎましょう。
一つの湯のみに一回で注ぎ切るのではなく、少しずつ順番に注ぎます。絵のような「廻し注ぎ」をおすすめします。
「1→2→3」と順に注いだら、次は「3→2→1」と戻ります。これを繰り返します。このように注ぐと、お茶の色や味、量を均一にすることができます。

最後に・・

急須にお湯が残らないように最後の一滴までしっかり注ぎましょう。
そして、注いだ後は急須の蓋を少しずらして置き、中の熱を逃がすようにしましょう。
このようにしておくと成分が浸出し続けるのを防ぐことができ、2煎目、3煎目も美味しく淹れることができます。

ここまで紹介したのは基本的な淹れ方です。
日本茶は淹れ方によって味が大きく変わる不思議な飲み物です。ぜひ何度も淹れてみて、その日その時の気分や場に合わせたお茶の淹れ方を見つけてみてください。